「僕がアップルで学んだこと」を読んだ

前半はアップルの社内環境がどのような風だったのか、散々だった状態がジョブズ以降どのように変わったのかという切り口で書かれている。後半はそれを踏まえた上での著者の見解が書かれている。
本書の売り込み方も完全にそうなってるけど、著者が16年間実際にアップル社に勤務していたというのがポイント。
本書はアップル社の環境にフォーカスしているので、スティーブ・ジョブズの直接の話はそれほど多くない。なので当たり前だけどジョブズのことならスティーブ・ジョブズ Iの方が圧倒的に情報が多い。
感想。前半のアップルについての記述は中の人が書いたということで大変貴重なんだけど、既にアップルに注目してある程度予備知識がある人にとっては新しい発見は少なめな印象。アップル社自体の業績や歴史的なところは他でも多く触れられているところ。とはいえ、職場環境についてどのように変わったのか、どのようなことがあったのか、という点は本当に貴重な情報だと思う。
後半にはいくつか面白い話があって、例えば「理想のレイアウトを求めて」の節。オフィスのレイアウトはほとんど効果測定がされていないと思う。色々な思いがあってその場でレイアウトを考えて実施するのは良いのだけど、そのレイアウトが本当に良かったのか、ということを確認していないように思われる。しかし、本書ではどいういう意図を持ってレイアウトを考えたのか、それがどのような結果をもたらしたのか、ということを実際の業務を通して確認した結果として記載されている。壁の高さ、部屋の大きさ、一緒にいる人数など、要因も明確でわかりやすい。人はこのように行動するだろうからこのようにすべきだ、というような論理の組み立てだけによる推測でないところが良い。オフィスのレイアウトは(や、もちろんその他の環境も)本当に大切だと思うので、面白く読むことができた。
アップルは今一番注目されている企業の一つだと思うけど、その職場環境を少しでも知ることができるこの一冊(800円!)はかなりお得。

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