創作性はどこまで認めるかが問題

Delphiによる市販ソフトウェアに創作性が認められない判決
この記事を見るといかにも「ソフトウェアに創作性が認められないなんて何てことだ!」と思ってしまうところ。danさんも同ツールを使用して作成した場合で「創作性が認められる部分は存在しない」という部分をピックアップしている。気になって判決文を読んでみたのだけど、正直これは妥当な判決ではないかと思う。
ややこしいのが、機能的な創作性とソースコードの創作性が入り混じっているところ。ソースコードについてはSlashdotの記事のとおり、「デルファイ」という開発ツールを基準にしているけれど、機能的な創作性は判決結果で「創作性があると推認することはできない」と一つ一つレスしている。簡単にまとめてはいけないけれど、まとめて言えば「機能的には一般的で必要なものの羅列であるし、ソースコードはツールを使っているから似るのは当たり前だ」といったところか。
しかし、この手の話は毎回頭が痛い。プログラムを知っている人であれば、意識しなくても同じコードを書いてしまうことがあることは周知だろう。言語にも依るけれど、特にJavaなどはコードが似やすい。それ程コンパイルで制限を課している。まして、GUIのコードを出力するツールを使えば尚更だ。
また、本判決で被告がさきがけとして開発したものを複製したと主張しているけれど、ある程度の開発ノウハウの吸収は仕方がないと思う。会社で得たノウハウは、その会社の利益に対して以外使ってはならないとなってしまうと、id:naoya氏はココログでの経験をはてなダイアリーに全く注げないことになる。判決では以下の認否がそのことを説明している。

(ア)ソフトウェアの開発会社は,他社が著作権を有し,顧客のためにライセンスにより提供しているモジュールや開発会社が種々のプログラムの開発のために部品としてストックしてきた関数,ルーチン,モジュール等を利用してプログラムを作成するのであり,同じ開発会社が作成したプログラムは,その多くの部品において同一であるのが通常であること,さきがけとNEWS2000のプログラムがいずれも被告Y2の従業員Aによって作成されたことからすれば,両プログラムが類似していても,直ちにNEWS2000がさきがけのプログラムを複製したものとは認められない。

しかし、創作性を認めなければ無秩序な複製が罷り通ることとなるので、それはそれで問題だ。だから、線引きが本当に難しい。そういう意味で本判決は興味深い判決だと思う。
少しジャンルは違うけれど、音楽でも似たものを感じる。既出でないメロディーを作るなんて、とんでもない難易度だ。コード進行に至ってはもっと難しい。クラシックに詳しい人は、現代の曲がパクリだらけに感じることだろうと思う。著作権に期限を付けるのも一つだけれども、創作物が被るという現象は非常に悩ましい問題だ。単純に早い者勝ちにするのか、登録したもの勝ちにするのか。少なくとも現状の法整備では些か不便に感じる。とはいえ代替案がある訳ではないので、偉そうには言えないけれど。

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