- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/02/10
- メディア: 新書
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以前、羽生 善治の将棋についての本は読んだことがあるけれども、氏の将棋以外の考え方はネットなどで部分的にしか知らなかったので(この本を読んだところで部分的なのは変わらない)、少し興味を持って購入した。
羽生 善治と言われて思い浮かぶのはものすごく若くして棋士になってこと、七冠独占、それに結婚会見で記者に寝癖がなくなったことを言われたり将棋と恋愛を比較してどうかと問われたりして照れ笑いしていたこと。印象3つ挙げろと言われて結婚会見が出る人は少ないかもしれないが、それくらい頭脳派というか将棋のために生まれて来た人みたいに思っていたから、人間的な一面がとても意外だった。
さて、この本もその人間的な一面が非常に強いと思う。運やゲンといったものを取り扱っているところからもよく伺える。
文中に書かれていることではないけれども、例えば、運などないと言い切ることはできても「運」という言葉の影響から逃れることは非常に難しい。コインの裏表を当てるギャンブルをやって20回連続で当たったらどう思うか。科学的に分析しなさい、と講義で言われたらなんとも思わないにしても、自分がお金をかけてやっているギャンブルの最中であっても「運が良い」と思わずにいられるのか。
この本ではこういった人間の周りに存在する様々なこと(非科学的なことも含めて)との付き合い方を、将棋の世界で勝負してきた羽生氏の視点から書かれている。当然将棋の話が多いので将棋を知っている人の方が楽しめると思うけれど、それ自体は本質ではなくて、羽生という人間はこのように対応している、というのが本書の主眼なのだと思う。