[ハ]Firefox と Greasemonkey とアフィリエイト泥棒 | キミガタメ「ハ」を読ませて頂いて感じたこと。
Webの世界に限らず私たちは日常的に人を指標にしていることがほとんど。全て自分で調べるなり解析するなりして判断することは時間的(または技能的に)に出来ないので、他人の意見を参考材料にして判断する。こうした判断の仕方はほとんどの人が行っていると思う。
具体的な例で言うと、自分の大好きなミュージシャンが「私は毎日○○という曲を聴いています」と言っていたら「○○」という曲を聴いてみたくなるとか、新学期、新しいクラスのみんなが「あいつは不潔だ」と言っていたら、その「あいつ」と面識がなくても不潔な人だと思ってしまうとか。このようにあっさり信用するかは別にしてこういう材料に囲まれて生活しているという意味で。
この判断基準となる人は抽象化されていてもいい。例えば、Yahoo!のニュースに「北陸でマグニチュード7を観測」と出たら普通は信じるでしょう。これは「Yahoo!みたいな有名なサイトなら」というサイト自体を指標にしている。
色々な判断を人頼りに行っている訳だけど、こと「信頼」とか「信用」という言葉出てくるようなジャンルでは問題になりやすい。しかし、こうした事柄であっても私たちは日常的に人を指標に判断を行っている。
例えば、親友がくれた故郷のおみやげに毒が入っているか確認する人は極めて少ないだろう。普通は盲目的に信用してしまう。言い出したらキリがない。けれど、現実に毒が入っているケースがあるから、そのときに「誰が悪いのか?」ということになる。
毒を入れた人が悪い=100%であれば丸く収まるのだけど、「信用したこと自体が悪い」という票が入ってしまうことがある。曖昧な出来事ほどその割合は高い。
上の例は判り易過ぎるので、例えば、宅配で荷物受け取った後に押し売り業者が勝手に送った品物だと判ったというのはどうだろう。勿論、受け取る際に差出人の確認は可能なので「宅配は安全」という信用を持っていたこと自体が問題視される。つまり「押し売り業者は当然悪いけど、何でも受け取る人もどうかと思うよね」というような按配で信用者が非難されてしまう。
前置きが長くなったけど、要するに上の非難と同様に「規約違反は当然悪いけど、Greasemonkeyをコードを読めない人が使ってるというのもどうかと思うよね」となる訳だ。
人を指標に判断するということは自分で確認するよりも事故が起きやすい。親友が毒をもることもあるだろう。だから、指標にする人の選定に力を入れるのも一つだ。完全に防ぐことはできないので、出来るだけ事故の確率を少なくする方向で。Greasemonkeyのケースで言えば、プログラムコードを毎回確認してからインストールするのではなく、毎回確認してる人(無論推測になるけど)の使っているものをインストールするという具合か。
話の本質は効率に対するトレードオフだと思う。だから、確認可能かどうかということは最早どうでもいいかもしれない。あの人が作ったプログラムならと信用するか、全てのコードを熟読した上に検証を行ってから利用するかのどちらを採るかの問題で、速度 or 安全である。
私はプログラマーであるけれど、多くの場合は前者を採用している。自分で確認すれば事故が減ることは知っているけれど、速度を優先している。つまり事故に会いやすい。
では、実生活で事故に遭遇しやすい場面ではどのように対策するのか。その解の一つに保険がある。
私の場合、この範囲までの事故は起こってもいいよという対策(保険)はある程度している。だから、プログラムの不具合でWindowsを再インストールすることになっても別に怒らない。いや、感情的には怒るけど、それ程深刻ではない。深刻な問題がないのであれば、Windowsを再インストールするくらいの時間は「人頼り」という判断によって十分まかなわれているので害はない。
さて、思ったまま書いているので文章がバラバラなので纏めると、今回のGreasemonkeyのようなケースがあることを重々承知した上で、速度か安全かを選択すれば良いと思う。技能的に自分で確認が出来ない場合でも、多くの人のレビューを見るとか、確認好きのプログラマーと知り合いになるとか、一定時間経ってからしか使わないとか、複数の対策を講じれば安全性は高くなる(当然速度は遅くなる)。もし速度を選ぶなら事故に会う可能性が高くなるので保険(対策)をかけると良いと思う。完璧な保険は不可能なので絶体絶命の可能性もあるが、それは自分で確認する場合も同じことであろう。
私はアソシエイトを利用していないけれど、もし使っていたらきっと同じように被害にあっていたでしょう。速度派なので仕方がない(決して悪意のあるコードを正当化している訳ではないので誤解のないように)。それにしても
現に、はてブアディクトは非常にメジャーな Greasemonkey のスクリプトなのに今日まで問題にならなかった。
とあるように、有名であるというある程度安全よりの判断を採ったにも関わらず事故にあってしまったのは残念なことだと思う。